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ブラジル&アルゼンチン、珠玉のドイツ公演映像DVD

1960年代ドイツで収録された珠玉の映像DVDについては、ニュースの方でお知らせして、ちょっと時間が経ってしまったが、あらためて詳細にご報告しよう。

Flamenco-Folklore-Bossa Nova DVD 1 557


今回発売されたDVD ”Legends of Folklore Argentino, Flamenco & Musica do Brasil Vol.1” (Tropical Music 68362)にはドイツで行われた3つのワールド・ミュージック系のコンサート・ツアー時に収録された4つのテレビ番組がまとめて収録されている。いずれもホルスト・リップマンとフリッツ・ラウという2人のプロデュースによるもの。最初に収録されているのは「フェスティバル・フラメンコ・ヒターノ」。1965年11月のもので、ホセ・サラサール、ラ・シングラなど総勢10名を超えるダンサーや歌手たちが名人芸を47分間披露していく。私はフラメンコは全く素人なので、後は省略するが、この時代の映像がかなり珍しいものであることは確かだろう。

2番目に収録されたのが「ブラジルのカンソン、マクンバ、エスコーラ・ヂ・サンバとボサノヴァ」で、1966年の10~11月にツアーが行われた。このツアーの最後にドイツで録音されたアルバム「ブラジルのフォルクローレとボサノヴァ」(CD化された時の邦題は「ブラジルの魂」ポリドール=MPS POCJ-2621)は名盤として知られているが、そのツアーの映像が登場したのだ。ステージのハイライトを収録したものらしく、エッセンスが44分間に凝縮されている。登場する曲とアーティストは、

1. マクンバのリズム(ジョルジ・アレーナ&ルーベンス・バッシーニ)
2. マクンバのリズム(マルリ・タバレスのダンス)
3. 小舟(J.T.メイレレス+ドン・サルバドール・トリオ)
4. 祈り(レザ)(エドゥ・ロボ)
5. ウパ・ネギーニョ(エドゥ・ロボ)
6. 涙もかれて(J.T.メイレレス+ドン・サルバドール・トリオ)
7. 夜霧に濡れて((J.T.メイレレス+ドン・サルバドール・トリオ))
8. アカラント(ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサ)
9. コンソラサゥン(ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサ)
10. サンバ・トルト(シルビア・テリス=ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサ=ドン・サルバドール)
11. ワン・ノート・サンバ(シルビア・テリス=ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサ=ドン・サルバドール)
12. フィナーレ(マルリ・タバレス、ジョルジ・アレーナ、ルーベンス・バッシーニ、ホジーニャ)
13. トリステーザ(全員)

この1ヵ月後に交通事故で亡くなってしまう名歌手シルヴィア・テリスの映像があるなんて考えもしなかったし、あまりにも若いエドゥ・ロボにもびっくり。ホジーニャ・ヂ・ヴァレンサのバーデン流の素晴らしいギターにもほれぼれしてしまう。主にメキシコで活動したという女性ダンサー、マルリ・タバレスの動きも映像でなくてはわからない。もう一つ面白いのはアルバムには収録されなかった曲がけっこう多い点。上記のうち、4、6、8、9、10、11はアルバムに収録されていない。逆にアルバムにあった「ジンジ」がないのはちょっと残念だが。

その後には1967年に行われたアルゼンチン・フォルクローレのツアー時に制作された、スタジオ収録のフォルクローレ名曲集の番組(38分)と、ステージで収録された「ミサ・クリオージャ」(30分)が登場。アーティストが大変豪華なラインナップで、メルセデス・ソーサとハイメ・トーレスの若々しさにまず驚くが、全盛期のロス・フロンテリーソスは文句なしに素晴らしいし、日本での知名度は低いが、リオーハ出身の名歌手チト・セバージョスとその伴奏者のルイス・アマージャの映像は貴重だ。この二人は伝説的なグループ「トレス・パラ・エル・フォルクローレ」のメンバーでもあり、アマージャはこの映像の翌年、29歳の若さで亡くなってしまうので、おそらく残されている映像はこれだけだろう。一応スタジオをアルゼンチン風にしたてているが、馬がポニーみたいな子馬なのは仕方ないところか。
登場する曲は

1. カーニバルのないアルバアカ(ロス・フロンテリーソス)
2. ビダーラ歌いのチャジャ(チト・セバージョス、ルイス・アマージャ、ドミンゴ・クーラ)
3. 古きチャカレーラ(チト・セバージョス、ルイス・アマージャ、ドミンゴ・クーラ)
4. ナランヒタイ(オレンジ娘)(ハイメ・トーレス)
5. ボリビア娘(ハイメ・トーレス)
6. チャグアネオのサンバ(メルセデス・ソーサ、ルイス・アマージャ)
7. 鐘つき鳥(チト・セバージョス、ルイス・アマージャ)
8. 哀れな私のネグラ(ロス・フロンテリーソス)
9. タリーハ娘(ロス・フロンテリーソス)
10. ボンボの響き(ハイメ・トーレス)
11. 滅びゆくインディオの哀歌(メルセデス・ソーサ、ルイス・アマージャ)
12. 悲しい歌(トリステーサ・カンシオン)(メルセデス・ソーサ、ルイス・アマージャ)
13. キアカの男(ロス・フロンテリーソス9
14. ラ・ロペス・ペライラ(全員=アリエル・ラミレスを含む)

途中アリエル・ラミレスによるチャランゴの説明などが入るが、すぐドイツ語がかぶってくるので不思議な感じ。
一方「ミサ・クリオージャ」の方は、何といってもオリジナル・アルバムと同一メンバーであるところがすごい。ロス・フロンテリーソス、アリエル・ラミーレス、ドミンゴ・クーラ、ハイメ・トーレスがスペインの合唱団と共におごそかに演じている。かつてビデオ化されていた  年のホセ・カレーラス版(ラミレス、トーレス、クーラはそちらにも参加)と比較してみると面白い。「ミサ」だけでなく、「われらのクリスマス」の方もちゃんと含まれている。

「ミサ・クリオージャ」
1. キリエ
2. グローリア
3. クレド
4. サンクトゥス
5. アグヌス・デイ

「我らのクリスマス」
6. 巡礼(ラ・ペレグリナシオン)
7. 誕生
8. 羊飼いたち
9. 賢者たち(ロス・レジェス・マゴス)
10. 逃亡(ラ・ウイーダ)

DVD Floklorica Argentina 1 565


DVDはPAL方式だが、たいていのコンピューターであれば見られるし、低価格の再生用プレイヤーでも見られることが多いので、この歴史的映像、ぜひごらんいただきたい。


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