ファン・ファルー来日に寄せて Bienvenido a Juan Falu

ついに来日するファン・ファルーの軌跡Juan Falu Lo Mejor165

アルゼンチン現代フォルクローレ界における最良のギタリスト・作曲家の一人、フアン・ファルーがまもなく来日公演を行う。数多くのCDや他アーティストへのゲスト参加などによって、その端正な弾きっぷりに惹かれた人も多いだろう。せっかくの機会なので、これまでフアン・ファルーが制作してきたアルバムをまとめておこう。
いつもフォルクローレ・アーティストを調べる時の拠り所であるDiccionario Biografico de la musica argentina de raiz folkloricaによると、アルベルト・フアン・ファルーは1948年10月10日、サン・ミゲル・デ・トゥクマン生まれ。アマチュアのギター愛好家だった父の影響を受けギターを始め、1966年、16歳の時にコンクールで優勝、記念に地元で制作されたオムニバス・アルバム”Tucuman canta a la Patria”に初録音を残したという。1976年から軍政を嫌ってブラジルに亡命、1984年まで滞在し、ブラジルでは「タランコン」というグループに参加した。帰国後数多くのアーティストとの共演が始まり、ギターを教える傍ら、アルゼンチン・フォルクローレの重要なプロジェクトやコンサート・シリーズに関わるようになる。以後ヨーロッパ、中南米各国、アジアなど海外公演も数多く、多くのアーティストの尊敬を集めるマエストロである。

これまで制作したアルバムは単独名義で10点ほど、共演盤はそれよりも数が多い。リストにはいれていないが、ゲストで数曲参加したものもかなりの数にのぼる。手元になくて内容未確認のものもいくつかあるのだが、一通りリストアップしておこう。

Cacto (Brasil) Canticorda / Deo Lopes & Juan Falu (1982)
Todas Las Voces Con la guitarra que tengo (1986) (Long Play)
Todas Las Voces Luz de giro (1987) (Long Play)
Circe De la raiz a la copa (1990) (Long Play)
Loco & Lev(Francia) La Saveur de la Terre / Juan Falu & Ricardo Moyano (1991) (Reedicion)
? Encuentro / Juan Falu & Chito Zeballos (en vivo en Neuquen)
EPSA Leguizamon-Castilla por Liliana Herrero & Juan Falu (2000)
EPSA Diez años / Juan Falu (2000)
EPSA Folklore argentino-Improvisaciones / Juan Falu & Marcelo Moguilevsky (2003)
EPSA A mi Ñano / Juan Falu
EPSA Encuentros y soledades / Juan Falu & Ricardo Moyano (1998)
EPSA Semites / Juan Falu & Marcelo Moguilevsky (2003)
EPSA Falu-Davalos por Liliana Herrero & Juan Falu (2004)
EPSA Manos a la obra / Juan Falu
EPSA En vivo Vendome-Francia / Juan Falu
Independiente  Coquita y alcohol / Juan Falu, Willy Gonzalez & Rodolfo Sanchez (2007)
Altais Music Manos en libertad / Jorge Cardoso & Juan Falu (2007)
EPSA Baisanos / Oscar Alem & Juan Falu (2009)
EPSA Lo mejor de Juan Falu (EPSAレーベルのベスト盤)(2011)
B&M Zonko querido / Juan Falu (2012) (2CD)
B&M En vivo 1995 – 2012 / Juan Falu (2012)
B&M Ronda de amigos / Juan Falu (2012)


やはり共演盤の多さが際立つ。もちろんソロも素晴らしいのだが、さまざまな個性を持った共演者やゲストと一緒だとさらに力を発揮する。旧作では歌手リリアナ・エレーロとの共演2枚がとにかく素晴らしいと思う。マルチ管楽器奏者のマルセロ・モギレフスキーとの共演は、かなりタイプのちがう2人が中和点を見つけて演奏している感じが面白い。キケ・シネシとモギレフスキーの共演と比較すると、楽器は同じでも基本スタンスがだいぶ違うような気がする。あと個人的にはオスカル・アレム(ピアノ)とのドュオ「バイサーノス」(2006年のライヴ録音だが、発売は2009年)がとても印象深かった作品だ。
Juan Falu Liliana Leguizamon 167Juan Falu Oscar Alem Baisanos168

最新作はB&Mレーベルだが、番号がなく、自主制作っぽいCD3組で、同じスタイルのジャケットデザインの色違いになっている。まだ日本に入ってきているのは2枚組の新録音「ソンコ・ケリード」だけだと思う(私もこの1点だけ昨年9月にアルゼンチンで買ってくることが出来た)。この「ソンコ・ケリード」はまさしくファン・ファルーの芸能生活50周年の集大成といえる内容で、CD2枚組計37曲すべてファン・ファルーの作曲で、歌の曲はロべルト・ジャコムッシ、ペペ・ヌニェスらの詞を得ている。ギター・ソロと弾き語りを中心に、バルバラ・ストレヘルのフルートが計10曲に参加(これがきりっとクラシカルでアルバム全体のアクセントになっている)、他にもルベン・ロボのパーカッション、リリアン・サバのピアノ、マルセロ・チオディのフルートなどの入る曲があり、ゲスト歌手でフアン・キンテーロ(2曲)、フロレンシア・ベルナレス、ビジ・コルテセが参加。1枚目と2枚目には大きな差はないが、2枚目の方がいつもとは少し異なるクラシカルなものやブラジル調の曲、ボレロまで含まれており、最後には弦楽五重奏団との組曲「ギターと弦楽五重奏のための5作品」が収録されている。
Juan Falu Zonko querido166

最新作あとの2点はフアン・ファルーのHPのディスコグラフィーに載っているもので、内容は未確認だが、曲目を見る限りかなり興味深く、特にさまざまなアーティストとの共演を集めた「ロンダ・デ・アミーゴス」にはすごい顔ぶれがずらりと並んでおり、ぜひ聞いてみたいものだ。

 昨年惜しくも世を去ったフアン・ファルーの叔父、エドゥアルド・ファルーの正確で的確な弾きっぷりを受け継いだ部分もあるが、、その音色はひたすら暖かく、時に「冷たい」と言われることもあったエドゥアルド・ファルーのクラシカルなスタイルとは一線を画しているとも言える。音楽性もより幅広く、アルゼンチン・フォルクローレの諸形式はもちろん、亡命時代を過ごしたブラジルで身に着けたものも潜在的に彼の音楽性の個性を形作っている。指導者としても大変重要な存在で、昨年私がブエノスアイレスで見たリリアン・サバ=マルセロ・チオディ=トリオMJCの共演コンサートも、もともとフアン・ファルー監修のコンサート・シリーズであった(その時フアンはヨーロッパ・ツアー中だったので現場には来なかった)。

 昨年来日ツアーを行って好評だった若手ギタリストのギジェルモ・リソットの音楽の、いわばより根っこに近い部分にあるのがファン・ファルーの音楽といっていいだろう。昨年リソットを聞いた方が今回ファン・ファルーの音を聞けばギターの音色にかなり多くの共通点を見出されるのではないかと思う。
 どんなレパートリーで今回の公演をまとめてくるのか、とても楽しみだ。
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